経済産業局化学課/化学物質管理課御中

短鎖塩パラのPOPs化提案書(リスクプロファイル:the Draft on SCCPs - Version June 5th, 2008)に対するコメント


2008年9月11日
日本難燃剤協会
環境委員会
塩パラWG

日本難燃剤協会は、塩素化パラフィンの環境問題に対するために、環境委員会の中に塩パラWGを設置して活動しております。
当協会は、今まで、以下の環境問題・規制の動きに対して自主的に対応してまいりました。

(1) ユーザー業界への環境配慮・管理についての指導
(2) 産業技術総合研究所で実施されました日本における「短鎖塩素化パラフィンの詳細リスク評価」への全面協力
(3) 化審法第1種監視化学物質「短鎖塩パラ(C11、Cl数7〜12)」の指定に伴う自主対応(短鎖塩パラの自主的に製造・販売中止。中鎖塩パラへの代替推進)

昨年のPOPRC3会議におきまして、短鎖塩素化パラフィンについてリスクプロファイルが議論され、調査不十分として持ち越されました。今回 新たに追加のコメントを付加し、本要件に合致するとの提案となっております。本内容に対しまして、以下のコメントを提出させて頂きます。POPRC4会議での政府コメントの程を宜しくお願い致します。

1) pp.18-19,ヒト毒性について
  (1) EUリスク評価書が,科学的な根拠から,肝臓と甲状腺への一般毒性および発がん性を雄ラット特有と結論して,NOAELを100 mg/kg/dayとしているのに対して,肝臓,甲状腺,腎臓に影響を及ぼす可能性があり,長期にわたる影響により発がんにつながるとした根拠が不明である.
  (2) また,MCCPsの生殖毒性試験における子動物と母獣の死亡を出血の影響と判断したのは考察レベルにすぎず,影響を特定するに至る確証すべきプロセスがないのは問題である.さらに,その考察にもとづいて,SCCPsとMCCPsの構造が類似しているとの定性的な考え方から,SCCPsに読み変える方法(read-across of data)をとっているのは,論理的に飛躍しており,賛成することはできない.
  (3) したがって, NOAELの10 mg/kg/dayをリスク評価に採用するべきではなく,EUリスク評価書で使用された100 mg/kg/dayを採用する方が望ましい.

2) pp.22-23,生態リスク評価について
  (1) 評価の際の不確実係数として,POPsおよびPBTsの物質については1000を適用するとあるが,短鎖塩素化パラフィンがPOPsかどうかを判定する段階であり,また,感度の高い生物種の毒性データに対してこの高い不確実係数を使用することは問題がある.一般的な100を不確実係数として使用するべきである.
  (2) また,PECとしてそれぞれOntario湖および周辺動物のモニタリングデータを使用しているが,工業地域およびその周辺のモニタリングデータに偏っているのは問題である.物質の長距離移動性を考慮するならば,北極地域などの遠隔地域のモニタリングを使用するべきであり,複数の地点でのデータから統計的にPECを求めるべきである.
以上


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