ヨーロッパ臭素系難燃剤工業会
技術コーディネーター
レイン・タンゲPhD


紹介
タンゲ博士は、Dead Sea Bromine Group (DSBG) 社の子会社であるユーロブロム社の欧州欧州技術プロジェクトのマネジャー兼ヨーロッパ臭素系難燃剤工業会(EBFRIP)の技術コーディネーターをつとめている。
化学エンジニアリング、プロセス技術、建設・機械工学を中心とする研究に携わる。1992年に高分子技術で博士号を取得し、ダウケミカル社にプロセスエンジニアとして入社。
1993年にDSBG傘下のBroomchemie Hollandに移り、技術分野の能力を活かして、プロセス工学とプロジェクト工学を担当すると共に、いくつかの生産プロセスの立ち上げを指導した。
1998年以後、EBFRIP(ヨーロッパ臭素系難燃剤工業会)のエンドオブライフ・プログラムのテクニカル・コーディネーターをつとめる。現在は、臭素回収を伴う熱分解プロセス、腐食の研究、LCAモデリング、臭素系難燃剤を含むプラスチックの機械的リサイクルを中心とする任務に携わる。

要約
ヨーロッパ臭素系難燃剤工業会(EBFRIP)は、臭素業界団体として、川下の流通・マーケティング業界の様々な廃棄物経路に存在する臭素系難燃剤の管理方法に関する業界や関係機関の理解を深めるための様々な技術プロジェクトを実施している。また、数年前からプラスチック、電子機器及び廃棄物業界のパートナー機関や企業との協力で進めてきたこれらのプロジェクトは、臭素系難燃剤を含むプラスチックのリサイクル、回収及び安全な処分に利用できる新規技術、既存技術等の成果を生んでいる。EBFRIPは、エンドオブライフ廃棄物の管理方法について蓄積した知識が今後の電子機器廃棄物に関するEU指令の実施に寄与するものと確信している。

電気電子機器から排出する臭素系難燃剤を含むプラスチックの
廃棄物管理ソリューション
初めに
本日皆様にお話しできることを光栄に存じます。

ヨーロッパ臭素系難燃剤工業会(EBFRIP)は、欧州の臭素業界の団体です。したがって、EBFRIPは、川下の流通・マーケティング業界の様々な廃棄物経路に存在する臭素系難燃剤の管理について、臭素業界自身とその関係者の理解を深めるための様々な技術プロジェクトを実施してきた。電気電子機器産業と各種ポリマーに高度な防火性を与える臭素系難燃剤を支援することが、今後も我々の優先任務となろう。本日は、一昨年秋、プラスチック処理促進協会(PWMI)と臭素科学・環境フォーラム(BSEF)が共催した東京テクニカルワークショップ(Tokyo Technical Workshop)に参加後の2年間の動きを報告したい。

私の前に講演されたシュヌラー博士とダウンズ博士は、EBFRIPのエンド・オブ・ライフ管理の活動に関する規制と市場の動きを明快に説明された。EUの廃電気電子機器(WEEE)指令は、高い率のマテリアル・リサイクル率の実現を義務づけている。プラスチックがこのような義務を免れることは政治的に認められない。ダウンズ博士が警告したEU包装廃棄物指令の実施をめぐる現在の論争では、プラスチック廃棄物のリサイクル目標の引き上げに大きな関心が集まっている。電気電子プラスチック廃棄物のマテリアル・リサイクルのソリューションが必要であり、EBFRIPのプロジェクトは、規制機関や一般市民の期待に応える臭素業界の努力の一貫として、欧州の電気電子業界との協力の下で実施されている。

しかし、マテリアル・リサイクルのみに注目しても意味がない。様々な廃棄物の有効活用方法が実施されなければ、プラスチックの有効活用市場は機能しない。臭素系難燃剤を含むプラスチック廃棄物の有効活用法には、マテリアル・リサイクルの他に、化学原料としてのリサイクルとエネルギー回収がある。私の講演では、臭素系難燃剤を含むプラスチックの回収(有効活用)と処理経路の様々な段階を紹介し、様々な廃棄物管理方法に関する材料の適合性を実証したい。

K 電気電子プラスチック廃棄物管理の概念
物流、確認、分離
西ヨーロッパでは年間440万トンの電気電子機器廃棄物が排出され、このうちプラスチック破片は77万7,000トンである。2005年には、電気電子プラスチック廃棄物は129万トンになると予測されるが、このうち臭素系難燃剤含有プラスチックは12%のみで、13万5,480トンと予想される。

電気電子機器廃棄物への対応策として、各種機関や政府は、廃棄物の収集と解体の実施を始めた。最終消費者が新しい機器を購入する前に、物流と解体費用に充てる料金の支払いを課すというのが一般的な方法となる。このシステムは、廃棄物回収設備が設置・利用されるという利点を持つ。しかも、数年後にはこの料金が下がり、材料の供給と有効活用市場の需要が増加するという成果も出ている。

金属、ガラス、木材等についてはリサイクルの経済性が証明されたため、(WEEE案)で決められたリサイクル率を比較的容易に満たすことができる。残念ながら、プラスチックの場合、事情は異なる。人口密度が違うため、マテリアル・リサイクル、エネルギー回収、化学原料としてのリサイクルの最適レベルが地域によって異なるであろう。

EUのWEEE指令が発効すれば、プラスチック・タイプごとの分別と特定(Identification)が必要になろう。この分別費用は低く抑え、プロセス全体の費用の高騰を避けなければならない。また、ある程度の割合のみが分別対象となる。マテリアル・リサイクルのために小規模部品も分別すると、全体の費用が劇的に上昇し、それに見合った利益が得られないことがいくつかの国の経験から明らかになった。

確認システムは現在開発中で、日本のテクノポリマー(Technopolymer)、ソニー、その他欧州に拠点を置く数社では、大型確認・分別設備の試験や設置計画を進めている。高度な確認システムの他にも、密度で分別する簡単なシステムや加熱ドラム方式(融解−軟化点の差を用いる)は、必要投資額が少ないことから現在でも多く利用されている。

マテリアル・リサイクル性
再生プラスチックは、分別分類費用が高く、バージン・プラスチック用の生産設備に比べて量が少ないことから、バージン・プラスチックとのコスト競争が難しいというのは総体的に正しい。臭素科学・環境フォーラム(BSEF)は、マテリアル・リサイクルは環境にやさしいという概念を擁護するが、全体の廃棄物管理の一部を構成するにすぎないと考えている。プラスチックの輸送と分別にもエネルギーとコストが必要であるため、マテリアル・リサイクルは必ずしも最適ソリューションとはいえない。現在欧州では、マテリアル・リサイクルによってエンド・オブ・ライフから再生されるプラスチックはほんの一部にすぎず、埋め立て処理か同時燃焼(Co-combustion)によるエネルギー回収が大部分である。オランダのエンジニアリング・コンサルタント会社TNOが実施した評判の調査は、最適マテリアル・リサイクル率は15−18%であることを指摘している。2000年の欧州のマテリアル・リサイクル率は、電気電子プラスチック廃棄物の3%に満たない。

臭素系難燃剤を含むプラスチックはリサイクル工程において比較的安定性が高いことから、日本の大手コピー機メーカーは同プラスチックの使用を指定している。実際に、臭素系難燃剤を含む再生プラスチックを使用している新しいコピー機の外装カバ−の30%がリサイクルされている。最近の調査では、臭素系難燃剤を含むABSプラスチックは、他のプラスチックに比べてリサイクル性に優れ、5回のリサイクル後も最も厳しい環境及び防火基準を満たすことができると結論している。EUのWEEE指令が実施されるとこの廃棄物をEU内の埋立地に運ぶことができなくなるため、プラスチックのマテリアル・リサイクルは大幅に増加すると思われる。このため、主要OMEと解体会社は、指令実施後の対応法を検討するプロジェクトに着手していることが明らかになっている。

リサイクルと作業者の安全性
プラスチックと臭素系難燃剤含有プラスチックの取り扱い作業に関する調査と分析が実施され、デカBDEを含むHIPSは、5回のリサイクル後もダイオキシン/フラン濃度がドイツの厳しい法的基準に完全に合格(実際には基準をはるかに下回る)ことが実証された。また、(作業環境中の)エア−・サンプルの採取・分析からすべてのサンプルが法律の基準を満たしていることもこの研究から証明された。

EBFRIPもスウェーデンの廃電気電子機器解体企業と協力して、血液と空気のサンプルを分析した。これまで分析したすべてのサンプルが、労働者の健康や安全に全く問題のない濃度であることを示していた。デカBDE濃度は非常に低かった。デカBDEは毒性が非常に低いことは広く認識されている。デカBDEについてのEUリスクアセスメントは作業者の同物質への曝露を詳しく検討し、同じ血液サンプルのデカBDE濃度は健康に害を及ぼすとされる濃度の2万分の1以下であると結論した。さらに、デカBDEは短期間に体外に排泄される。

微量の難燃性添加物への曝露は、主にダストが媒介すると思われ、他の解体、リサイクル会社が実施した研究でも、この曝露は簡単に防げることが実証されている。解体工場の空気中に検出された物質はポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)だけではなく、プラスチック添加物の種類を問わず厳密なダスト・コントロールが必要であると指摘していることにも注目しなければならない。

コミュニケーション・プログラムの一環として、臭素業界は電気電子業界と共同で、サプライヤー、健康管轄機関、科学者と協力しながらリサイクル率の改善と作業者の健康と安全の保護に取り組んでいる。機械的リサイクルの到来を目前にしたこの段階で、リサイクルの世界にこのメッセージを導入することは重要である。リサイクル会社のなかに化学産業と同じ産業衛生レベルを実現することが最終目標となろう。

銅精錬所における廃電気電子機器のリサイクルとの適合性
プラスチック廃棄物のなかで推定2万5,000〜5万トンがプリント配線板で、この廃棄物類には10%の臭素が含まれる。回収物の主な行き先は銅精錬所で、そこで銅と貴金属のリサイクルが行われる。

電気電子プラスチック廃棄物とプリント配線板金属の共同回収の互換性と役割を評価するため、国際的な非鉄金属会社であるボリデン社は、欧州プラスチック製造者協会(APME)と米国のAPCとの協力による研究プロジェクトに着手した。この研究から、電気電子機器から回収したプラスチックを銅精錬所のリサイクル・プロセスに入れると、この非鉄金属リサイクルプロセスの燃料エネルギーが84%も削減できた。このことから、金属材料としてのリサイクルだけでなく、電気電子プラスチック廃棄物からのエネルギー回収を含めて、銅精錬プロセスとの関連では環境利益があることが明らかになった。このシステムを使えば、約1万5,000トンの廃棄パソコンがこの工場で処理できる。臭素系難燃剤含有プラスチックは、ボリデンの銅精錬プロセスで実施された特別試験で、精錬基準に完璧に適合しているが実証された。したがって、このプロセスは臭素系難燃剤含有プラスチックの有効活用の魅力的選択肢といえる。

他にも、プリント配線板(PWB) 2万5,000トンと銅含有率の高い電気電子廃棄物のプラスチック破片を合わせて処理して、年間800トンに相当する臭素を臭化水素(HBr)として回収するというドイツのリューネンのGermany Huttenwerke Kayserによる新規プロジェクトを紹介したい。このプロジェクトは、クローズドループの例として、臭素と結合している銅を回収することが目標としたもので、このルートを使えば、製造コストが削減できる。臭素の有効活用については、BSEFも協力と支持を表明している。このプロジェクトは3〜4年以内に操業開始が見込まれるが、プリント配線基盤の関連してこれまでで最もシンプルで最高の環境対策であると期待されている。

臭素の原料としてのリサイクル
臭素系難燃剤含有プラスチック廃棄物、特に電気電子業界から排出される臭素のリサイクルを目標とするプロジェクトについても紹介したい。私は、このプロジェクトを毎日指揮できることを誇りに思っている。臭素または臭化水素を回収する技術的、経済的フィージビリティを評価するため、2つのパイロット研究が実施された。
都市固形ゴミの同時燃焼については、TAMARAパイロット工場(FZK、カールスルーエ)を利用。第二部の論文参照。
熱分解/ガス化プロセスのシミュレーションは、ECN(オランダ)のPyromate (Gibros-PEC)を選択。
これらの結果から、EBFRIPは、欧州のいくつかの廃棄物会社と協力し、臭素系難燃剤を含むプラスチック廃棄物から臭素や関連生成物(例えば、臭化水素酸)をリサイクルする設備の開発を進めている。現段階では、オランダのAVR/ARVが廃棄物会社としてこの開発に参加している。欧州内にエネルギー回収設備を建設し、光化学物質、プールの殺菌剤、そしてもちろん難燃剤などの臭素製品から臭素を回収できる機能ももたせることを計画している。

全容を知るためには、以下のデータを理解しなければならない。西ヨーロッパで排出される廃棄物に含まれる臭素量は、2000年は1万1,000トンであるが、2005年には1万6,000トンに増加することが見込まれる。電気電子プラスチック廃棄物に含まれる臭素の再利用を実現するには、同時燃焼、サーマルプロセス/ガス化または前述の精錬プロセスなどの熱工程が利用できる。同時燃焼に使われている典型的な都市固形ゴミ焼却(MSWI)ラインでは、1時間20トンの都市固形ゴミが処理できる。複数のラインが並行で作動する大型MSWIでは約150ユーロ/トンのゲートフィーが必要である。同時燃焼プロセスにおける臭素専用の回収ユニット例は以下の通りである。

MSWの回収量は60トン/時間、44万トン/年
工場への同時供給(co-feed)量は電気電子プラスチック廃棄物発生量の6%に相当し、臭素含有率は平均2.5%。合計供給量は3,600s/時間、2万6,200トン電気電子プラスチック廃棄物/年間
臭素回収量は90s/時間

スクラバーの効率を97%超とした場合、処理効率90%超が実現されれば、処理設備に入る臭素量とほぼ同じ量の臭素が再利用可能な形で回収される。臭素プロセスにはいくつかの技術的オプションがある。

1. NaOHで中和して塩素で回収すれば、年間600トン近い臭素を生産できる。
2. 48%HBr水溶液の蒸留では、年間約1,200トン近いHBr水溶液が回収される。

臭素とHBr溶液の種々の回収経路について、現在、臭素業界内部で試験が実施され、来年早々には結果が出る予定である。プロジェクトが終了すれば、リサイクル業界およびサーマルプロセスに対し、経済的に臭素又はHBrを回収する設備の建設が提案できる。

臭素系難燃剤を含む電気電子プラスチック廃棄物からの臭素の回収は技術、経済、エコロジーの面からもフィージブルであると考えられる。同時燃焼又は熱分解/ガス化を利用すれば、臭素または48%HBr溶液として原料として再使用できる形で回収できる。同時燃焼プロセスでは、既存の新しい焼却炉が使用できる。熱分解/ガス化プロセスまたは精錬プロセスについては、濃縮臭素が回収できる専用ユニットを建設することができるが、物流費用は上昇する。

西ヨーロッパでは年間最高1万1,000メートルトンの臭素の回収が見込まれ、資源節約と同時に臭素のクローズドループが完成する。

エネルギーの回収(有効活用)
つぎに、標準的なエネルギー回収工場における臭素系難燃剤を含む電気電子プラスチック廃棄物の管理の可能性について考察したい。

電気電子機器から排出されるプラスチックを現在の都市ゴミ用焼却炉で同時燃焼することにより、プラスチックの持つエネルギーが回収できる。車のリサイクルに関するEU指令では、全体の回収目標の5%をエネルギー回収が担当することを定めている。現在のWEEE指令案では、全体の回収目標義務のなかでのエネルギーの割合は非常に少ない。現在、分別されていない混合プラスチックの処理では同時燃焼が最も経済的な方法のひとつであることを実証する数多くのプロジェクトがAPME等の組織を通じて実施されている。化学物質を製造する合成ガスのように回収物が再利用される場合は、化学原料としてのリサイクルはマテリアル・リサイクルとみなされる。これまで、AMPE、PVC産業および自動車産業等の企業がこれらのサーマル・プロセスを試験するための数多くのプロジェクトを実施してきた。これらの研究のほとんどが最初に出した結論は、化学原料としてのリサイクルは技術的には可能であるが、長期的な具体的経験がまだ不足しているというものであった。このような経験不足と多額の投資コストにより、原料としてのリサイクルは、種々のプラスチック破片の処理技術としてあまり普及していない。ECN Hollandによるパイロット試験とAuto Recycle Holland (ARN)の試験は、プラスチック破片の使用は有望であることを示唆している。

Gibros-PECプロセスは、金属を回収し、その残りを道路や堤防の建設用のバサルトに変える残留灰精錬装置を備えたもので、「完全な」クローズドループを実現できることが最大の魅力である。塩素化プロセスではプラスチックから臭素を回収する。48%のHBr水溶液を回収できる方法もある。生成した合成ガスは、炭化水素などの原材料の製造や直接発電に利用できる。経験を蓄積し、廃棄物設備のオペレーターが利点を確認すれば、このプロセスは非常に有望なものになる。

同時燃焼による焼却
もちろん、すべてのプラスチック廃棄物の回収(有効活用)ができるわけではない。エネルギー回収施設の場所が遠すぎる場合や再生プラスチック市場がない場合は、安全な処理法が必要となる。EBFRIPはAPMEと協力し、カールスルーエ技術研究所がTAMARAパイロット焼却工場で実施したパイロット試験にスポンサーとして参加し、都市固形ゴミ焼却炉が臭素系難燃剤を含む電気電子プラスチック廃棄物の処理に適しているかどうかの調査を実施した。予備研究の結果が確認され、「空気汚染防止システムを装備した焼却炉では、臭素系物質が放出物に混じる心配はない」という結論が導かれた。

焼却試験、熱分解、燃焼の研究から、臭素を含む廃棄物が存在しても、ダイオキシン/フランが増えることはなく、焼却炉を正しく管理すれば、EUが設定した厳しい放出制限値をはるかに下回ることが明らかになった。臭素系難燃剤を含むプラスチック廃棄物に含まれるエネルギーは安全に回収されることが分かった。OECDと欧州委員会による別の研究でも同じ結論を発表している。

埋め立て処理
前述のように、電気電子廃棄物の処理方法としての埋め立て処理の可能性が小さくなると思われるが、臭素系難燃剤を含む電気電子プラスチック廃棄物から臭素系難燃剤が環境中に放出されるのではないかということは以前から問題になっていた。臭素系難燃剤の安定した性質からみて放出の可能性は低いと思われるが、エンド・オブ・ライフの方法の全体像についての知見を得るため、臭素業界は埋立地からの浸出液(廃水)の分析に着手した。最初の分析結果では、有機臭素濃度は10〜30 ppm未満と低いことが示唆された。この濃度は非常に低い。方法を検証し、個々の有機臭素を分析する作業も計画されている。この調査は今後半年のうちに開始することが期待される。

腐食の研究
工業プロセスのなかで臭素が腐食剤として作用するかどうかという問題は、臭素業界は詳しく理解している。この理解がなければ産業用設備を稼働させることはできない。しかし、このような知識は、臭素系難燃剤を含む電気電子プラスチック廃棄物等の臭素含有廃棄物処理設備の管理に活用しなければならない。そのため、臭素業界は、腐食に関連する臭素の影響について文書でまとめ、出版物とすることが重要であることを認識している。

現在の都市固形ゴミの焼却炉(例えばドイツ)のほとんどが、電気電子廃棄物は腐食の原因となるとして、電気電子廃棄物の大量焼却に難色を示している。これが本当であるかどうかを調べるには、いくつかの事実を知る必要がある。都市固形ゴミ中の通常の臭素濃度は30〜100 ppmで(塩素は7,000 ppm)、しかも、HBrはHClより腐食性は低いことが知られている。ドイツのTAMARAパイロット焼却プラントでの試験によれば、設備の運転中に遊離臭素は放出されていない。電気電子プラスチック廃棄物を最高3%まで添加して臭素濃度を上げても、遊離臭素は検出されなかった。この研究は完了し、今年の年末に発表予定であるが、HBr-Br2濃度、温度、寿命からによる種々の材料の腐食効果を考察した文献調査も含まれる。都市固形ゴミ焼却プラントのオペレーターが実際に得た経験をもっと詳しく理解するため、AKZO Nobel EngineeringとTNO Hollandが研究に着手し、来年早々に最初の結果が出ると期待される。

電気電子廃棄物−臭素系難燃剤−将来の展望
西ヨーロッパで発生する電気電子プラスチック廃棄物の現状を示すこのスライドでは、今でも大半が埋め立て処理され、約10%が焼却によってエネルギーが回収されていることが分かる。解体後でも60%が埋め立て処理される。原料としてのリサイクルや再利用は、まだ行われていない。

このスライドはWEEE指令実施後の状況を示したものであるが、電気電子プラスチック廃棄物の15%が焼却、75%が解体処理されることになる。このうち15%がマテリアル・リサイクル、10%が同時燃焼(銅精錬)でエネルギーを回収する。同時燃焼と埋め立て処理は非常に難しいため(または、全く許可されない)、化学原料としてのリサイクル=フィ−ドストック(75%)がリサイクル義務を満足するための唯一の追加的ソリューションになろう。これは、エネルギー有効活用設備に臭素回収ユニットを装備する機会を提供する。

結論
本日は、臭素系難燃剤を含む電気電子プラスチック廃棄物に関する様々な選択肢を紹介した。ヨーロッパではマテリアル・リサイクルが廃棄物処理の理念の一環を構成することは明らかであるという結論が得られた。臭素系難燃剤を含む電気電子プラスチック廃棄物は、リサイクル中も安定であるという利点があり、プラスチック業界や電気電子業界の組織や企業と協力し、より多くの材料のリサイクル性を調査することを奨励したい。しかし、プラスチックのマテリアル・リサイクル、エネルギー回収、化学原料としてのリサイクルは、臭素系難燃剤を含むプラスチックの廃棄物管理に重要な役割を果たす。

EBFRIPは、臭素系難燃剤含有材料とその廃棄物管理プロセスの適合性に関する技術面の理解をさらに深める作業を進めているが、これまでの結果は心強いものである。この作業のなかで、EBFRIPは、プラスチック、電気電子機器、廃棄物管理部門の組織や企業を中心とするプロジェクトのパートナーの協力、支援に心から感謝したい。また今回、PWMIを中心とした日本での実験成果を含めた相互評価の機会をもてることも感謝する。

ご清聴ありがとうございました。質疑応答のセッションで、皆様のご質問にお答えしたいと思います。

訳者注
欧州・WEEEのリサイクル用語の定義は、日本のそれと異なるので、若干の注をしておきます。次表等分かるように、ここに使用した「マテリアル・リサイクル」は、欧州ではメカニカル・リサイクルといわれ、ここでは「化学原料としてのリサイクル」はフィ−ドストック・リサイクルと言われ、広義のマテリアル・リサイクルの範疇に属する。
欧州のリサイクル用語の定義
定義
説明
予防(Prevention)
Nondisclosure   材料・物質の量と環境に対する有害性除去を目指す処置
処理(Treatment)

(汚染除去、解体、破砕、再生または処分の準備のために施設に引渡し後の全ての活動ならびに再生/処分のために実施される全てのオペレ−ション・除去作業)
再使用(Re-use)   継続的使用を含め、当初考えられた目的に再度使用されること
再生(Recovery) リサイクル(Recycle) 当初のまたは他の目的のために、廃棄材料を生産工程で再加工すること

熱の再生に伴う直接的焼却によるエネルギ−回収を含まない
エネルギー回収
(Energy recovery)
熱の再生に伴う直接的焼却によるエネルギ−回収
処分(Disposal) PC/ABS 上記以外の処理、単純焼却、埋立などをいう

プラスチックリサイクルの分類
Type of plastics
Mechanical
recycling
Feedstock
recycling
Energy
recovery
Sorted, single type
Plastics waste
材料、グレ−ド、色等まで完全に分別された廃プラスチック
×
Mixed plastics waste
紙、金属等の付着物、混合物を取り除いたもの
Mixed plastics waste + paper etc.
紙や様々な混合物の混在するもの
×
×
Plastics waste in MSW
一般廃棄物との混合燃焼
×
×
◎:優先 ○:適切 ×:不適応または無駄な処理



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