「有機リン化合物」という表現について
日本難燃剤協会 リン部会
平成16
年12月27日

 有機リン化合物は、多くの化学製品からなるいくつかのグループを形成しており、難燃剤、可塑剤、殺虫剤、農薬等の様々な最終用途に使用されています。また有機リン化合物は、私たちの体内にある遺伝子をつかさどるDNAにも組み込まれています。
その様に広く使われている事と、一部の有機リン化合物には神経毒を有するものがある事から、マスコミ等に『全ての有機リン化合物は危険な物質』として取上げられる等の誤解を受けるケースが多々有ります。

 そのような混乱や誤解生ずる理由の一つに、厚生労働省管轄の「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)」において、有機リン化合物が規制物質のひとつとなっていることが挙げられます。私ども難燃剤協会へも、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」を根拠に、リン系難燃剤はプラスチック用途に使用出来ないのではないか?というお問い合わせを度々頂きます。

 現在有機リン化合物は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に加えて、環境省管轄の「水質汚濁防止法」、「土壌汚染対策法」と合計3つの法律により規制されています。「水質汚濁防止法」と「土壌汚染対策法」の2つの法律では『有機リン化合物は、パラチオン、メチルパラチオン、メチルジケトン、EPNの4物質を対象とする』と明確に規定していますが、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」にはこの4物質が明記されていない為に、誤解を与える原因となっています。
平成12年4月に協会として当時の厚生省に直接面談を行い、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の有機リン化合物について確認を行っております。その結果、『法律には4物質を明記していないが、物質の分析方法は環境省の法律をそのまま引用しているので、法律をよく読んでもらえれば4物質に限定している事は明白である』との回答を頂いております。
従いまして難燃剤に使用されております「有機リン化合物」が、「廃棄物の処理及び  清掃に関する法律」の『有機リン化合物』には該当しない事は明らかであります。

 この様に有機リン化合物という日常的に使用される表現によって、環境や毒性に  対する誤解を受ける事があり、法律上でもその表現は慎重に取り扱う必要があります。日本難燃剤協会は、レスポンシブルケアの精神にのっとり、それらの環境毒性情報を 積極的に公開し、『火災から人命を守る』難燃剤という観点から社会に貢献していきたいと考えています。


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