2008年10月28日

デカブロモジフェニルエーテル(c-Deca BDE)ユーザーとそのサプライチェーン業界の皆様へ


日本難燃剤協会
環境委員会
ハロゲン部会
デカブロモジフェニルエーテル(c-Deca BDE)用途調査について(第3報) (POPRC4国際会議の報告)

拝啓 貴社ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。平素は当協会の活動にご理解・ご協力を賜り厚く御礼申し上げます。
さて、2008年9月1日付のc-Deca BDE(商業用デカブロモジフェニルエーテル)のエッセンシャルユース調査でご説明いたしました日本国内でのc-Deca BDEの製造・輸入・使用等の禁止に関する最新状況を下記にご報告申し上げます。
〔2008年10月12日からのPOPRC4(第4回POPs国際技術検討委員会)での結論〕

1) c-OctaBDEに関する決定事項
  (1) c-Octa BDEの最終ドラフトに多く記載されているc-Deca BDEに関する記述は削除された。c-Deca BDEを検討対象とするためには正式な手続きを踏んで改めて提案されなければならない。
  (2) c-Octa BDEは臭素数6〜9のBDEの混合物であったが、臭素数8と9のBDEにはPOPs要件である蓄積性が無いため(POPRC2で確認)、POPsの対象とするのは臭素数6と7のBDEとすることが確認された。
  (3) 脱臭素化による低臭素化体への変位については、実験室レベルでは起こっているが脱臭素化の速度が遅く、実環境での知見が不十分であるとのことから今回は議論の対象とせず、今後の検討課題となった。

上記の検討内容を踏まえ、2009年5月の締約国会議(COP会議)では臭素数6のBDE(Hexa BDE)と臭素数7のBDE(Hepta BDE)を含むc-Octa BDEを POPs:ANNEX A(廃絶)として勧告することとなりました。要するに臭素数8、9のBDEについては来年5月に開かれるCOP会議では議論されることはなくなりました。

このPOPRC4の結果により、現時点では想定される最悪の事態であった日本国内での2009年10月からのc-Deca BDEの製造・輸入・使用等の禁止の可能性は無くなりました。

2)今後の対応
また、今後のPOPs条約に関する国際会議のスケジュール(案)によりますと2009年の以降の締約国会議(COP)は2011年に予定されており、今回のPOPRC4で見送られた候補物質あるいは新規に候補となる物質の確定は早くても2011年になります。

日本難燃剤協会ではc-Deca BDEの国内メーカーと協力しPOPRC4にオブザーバーを派遣、経済産業省・環境省の協力を頂き科学的な知見を元にc-Deca BDEの安全性を擁護してまいりました。今回のPOPRC4の結果は私ども日本難燃剤協会が主張してきた内容が認められたものと存じます。
今回のPOPs問題のような環境問題に取り組んでいくためには皆様のご協力が不可欠です。今後ともご理解・ご協力いただけますようよろしくお願いいたします。

以上
〔*詳細補足説明〕

<POPsとは>
環境中への残留性の高い化学物質の削減や廃絶に向けた国際条約「残留性汚染物質に関するストックホルム条約 (POPs条約)」に基くものです。
POPs(Persistent Organic Pollutants : 残留性汚染物質)とは環境中での残留性・生体蓄積性・人又は環境毒性があり、長距離を移動し他の地域の環境にも影響を及ぼす物質のことです。

<c-Octa BDEのPOPs対象>
今回POPs条約に提案されているc-Octa BDEは臭素数6〜9のBDEの混合物です。臭素数6〜9のBDEは残留性に違いがあると考えられており、臭素数8と9のBDEについて残留性は確認されておりません。
しかし、 最新の提案書の中で臭素化BDEは或る条件下で脱臭素化し、より残留性の高い低臭素化BDEになるとの記載がありました。
なおc-Octa BDEは既に日・米・欧では業界が自主的に製造・輸入・販売を中止しております。

<なぜc-Octa BDEのPOPs指定によってc-Deca BDEが規制されるのか?>
c-Octa BDEの構成物質がPOPsとなった場合、日本の化審法ではこれら構成物質である臭素数6〜9の4種類のBDEが第1種特定化学物質に指定されます。この場合、意図的・非意図的に係わらず臭素数6〜9のBDEを含む製品は製造・輸入・販売・使用が原則として禁止されることになります。

現在市販されているデカブロモジフェニルエーテル(c-Deca BDE)は1-3%程度のNona BDE(臭素数 9)と極微量のOcta BDE (臭素数 8)を不純物として含んでおります。
このためDeca BDEに問題は無くとも、その不純物によって化審法上、製造・輸入・販売・使用が原則として禁止されます。

<第1種特定化学物質とは>
・現在、PCB等16物質指定されています。
・難分解性、高蓄積性及び長期毒性又は高次捕食動物への慢性毒性を有する化学物質
・措置の内容としては、製造又は輸入の許可、使用の制限、政令指定製品の輸入制限、物質指定等の際の回収等措置命令等が規定されています。原則として、製造・輸入・使用が禁止されています。

<日本難燃剤協会の対応>
日本難燃剤協会ではBSEF(臭素科学環境フォーラム)と協調し、c-Deca BDEの有用性を守るために経済産業省・他の業界団体・ユーザーと密接に連絡を保ちながらPOPs問題に対応していく所存です。本件に関する情報は適宜、皆様に対し発信申し上げます。

本件に関するお問い合わせ・ご質問は日本難燃剤協会までお問い合わせ下さい。

日本難燃剤協会
事務局
TEL 03-3517-2232
FAX 03-3517-2560
E-mail: info@frcj.jp


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