主要難燃剤解説
水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)

特徴・要約
水酸化マグネシウム(以下MDH)は白色の粉体の結晶です。
CAS-No.1309-42-8、EINECS No.215-170-3、化審法-No.1-386

製法によって概ね次の3つに分かれます。
 ・苦汁・海水法MDH:Mg:源としては海水(苦汁)と、アルカリを反応させた物(合成法MDH)。
 ・大和法MDH:酸化マグネシウムと水を作用させた物(合成法MDH)。
 ・天産品MDH:天然の鉱床から産出された鉱石を粉砕した物。

応用
 MDHは、プラスチック、ゴム、塗料、接着剤、シーラントに充填し難燃剤として使用されています。
 MDHは分解温度が高いため(合成MDH340℃、天産MDH300℃)、難燃製品において比較的高い温度(水酸化アルミニウムを用いる場合よりも高い温度)で成形加工される場合に使用されます。

安全性情報
危険性: 発火点 不燃性、自己反応性 なし、酸化性 なし、通常の保管及び取扱い条件では安定。
有害性: 急性毒性 経口 ラット LD50=8500mg/kg、刺激性、発ガン性、変異原性は知見なし。
眼、皮膚、呼吸器を刺激することがある。
暴露防止: 管理濃度 知見なし、許容濃度 吸入性粉塵2mg/m3、総粉塵8mg/m3(TWA)
取扱い: 一般保護服、ゴム手袋、保護めがね(ゴーグル型)、防塵マスクを使用。
許容濃度以下に保つような場所で取扱う。
溶解度: 水には不溶(18℃、0.0045%)。酸、アンモニア溶液に溶解する。
MgCl2、MgSO4は海水に可溶。海洋の平均のMg2+濃度は1.3g/l。
適用法令: 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(産業廃棄物)
水質汚濁防止法(水素イオン濃度等の項目)

利点
MDHは熱に安定(300℃以下)、無毒で環境にやさしい物質です。

MDHは、可燃性の有機物/ポリマーのマトリクス中に難燃剤フィラーとして入ります。
MDHの難燃機構は、以下のように考えられています。
材料物質中の可燃物の希釈
脱水時の吸熱作用(材料の燃焼時、MDHの分解による吸熱によって燃焼を遅らせる)
水蒸気による可燃性ガスの希釈
脱水生成物による断熱層の形成

供給会社/出典 他
アルベマール日本株式会社
〒100-0011 東京都千代田区内幸町2-2-2 富国生命ビル16階
TEL:03-5251-0796 FAX:03-3500-5623
URL: http://www.albemarle.com
ICL-IP JAPAN 株式会社
〒112-0004 東京都文京区後楽2-3-21 住友不動産飯田橋ビル5階
Tel:03-6801-8430 Fax:03-6801-6970
URL: http://www.icl-ipjapan.com/
参考文献
・産業衛生学雑雑誌Vol.42(2000)
・日本医薬品集(薬業時報社)
※注意
 この難燃剤解説は、欧州難燃剤協会(EFRA)作成のFlame Retardant Fact Sheetをベースに、現時点で入手できる知見を基に日本難燃剤協会が作成しています。この難燃剤データ表は、健康・環境・規制情報等を提供することを目的にしておりますが、製品安全データシート(MSDS)・法的な要求文書等ではなく、また記載データは製品規格を示すものではありません。

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